若い頃は稼げても、その先は? 風俗だけで生きてきた女性の老後
20歳前後から風俗で働き、会社員になった経験はほとんどない。若い頃には会社員以上の収入があり、その生活が30代、40代まで続いた――。
では、その女性が50代、60代になったとき、生活はどうなるのだろうか。
この疑問で重要なのは、「風俗嬢は何歳まで働けるのか」だけではない。年齢とともに収入が変化する仕事を続けながら、年金、貯蓄、職歴という「老後に持っていけるもの」をどれだけ作れたのか。今回は成人後から風俗などを主な収入源としてきた女性を仮想モデルとして、その先を観測してみる。

20代――会社員より稼げることが、逆に落とし穴になる
仮に20代で月40万円、50万円、それ以上を継続して得られれば、同年代の会社員を見て「普通に就職する必要があるのか」と感じても不思議ではない。
しかも会社なら上司がいて、朝から出勤し、手取りはそれほど多くない。一方、自分は短時間でも大きな収入になる。この時期だけ切り取れば、風俗を選択することに経済的合理性があるケースもある。
しかし、本当の差はその月の手取りではなく、10年後に何が残っているかに出てくる。
会社員なら厚生年金への加入、仕事上の経験や技能などが時間とともに蓄積される。一方、個人事業・業務委託などの形で働いている場合、それらを自分で管理しなければならない。
30代――収入より「次の仕事」が問題になり始める
30代になったから風俗で働けなくなるわけではない。人妻、熟女など年齢そのものを需要に変えるジャンルもあり、若さだけですべてが決まる市場ではない。
ただし、ここで重要なのは「何歳まで客が付くか」より、「辞めたとき何ができるか」である。
一般企業で10年間働いた人には、接客、営業、事務、管理、PC操作など、次の職場で説明できる経歴が残る。風俗にも接客能力や対人能力は当然存在するが、それを一般企業の採用市場でそのまま職歴として評価してもらえるとは限らない。
20代では気にならなかった「出口」が、30代以降になると徐々に大きな問題になる。

40代・50代――熟女需要があっても、老後問題は別に残る
ここは誤解しやすいところだ。40代や50代になれば即座に仕事がなくなるわけではない。熟女を求める市場が存在する以上、年齢を重ねても働き続ける女性はいる。
しかし「働ける」と「老後の準備ができている」はまったく別の話だ。
収入があるうちに申告を行い、年金を納め、貯蓄や資産形成をしてきた女性なら、長年自営業をしてきた人と基本構造は大きく変わらない。
反対に、稼いだ分をほぼ生活費や遊興費に使い、年金も貯蓄も十分でない状態で50代に入ると、急に選択肢が狭くなる。
年金は「風俗だからもらえない」わけではない
ここは職業とは切り離して考える必要がある。
日本国内に住む20歳以上60歳未満で、厚生年金加入者でもその扶養配偶者でもない人は、原則として国民年金の第1号被保険者となる。つまり風俗で働いているから年金制度の外にいるわけではない。
老齢基礎年金は、保険料納付済期間や免除期間などを合計した受給資格期間が原則10年以上あれば65歳から受給できる。ただし金額は加入・納付状況によって変わり、40年間すべて納付した場合に満額となる。
したがって本当に怖いのは職業名ではない。長期間稼いでいたのに、社会保障と資産形成をほとんど意識していなかったケースなのである。
60代――身体より「30年間で何を残したか」が問われる
60代になれば、風俗を完全に辞める人もいれば、中高年向けの業態で働き続ける人もいるだろう。ただ、若い頃と同じ収入を永久に前提にはできない。
そこで生活を左右するのが、年金、預貯金、住居、配偶者や家族の状況、そして別の仕事による収入である。
資産や収入が乏しく、他の制度などを活用しても最低生活を維持できない場合には、最終的には生活保護という社会保障制度も存在する。これは元風俗従事者だから利用する制度ではなく、要件を満たした生活困窮者を対象とする制度である。

「身体は資産」という考え方には期限がある
若さや容姿を収入に変えられる時期が存在するのは事実だろう。しかし身体そのものを金融資産のように保存することはできない。
だから若い時期に得た高い収入を、貯蓄、年金、住居、資格、別の仕事など「年齢が上がっても残る資産」へ変換できたかが重要になる。
これは風俗に限った話でもない。スポーツ選手、芸能関係、体力仕事、歩合営業など、「若い時期や好調期に大きく稼げる仕事」には似た問題がある。
違いがあるとすれば、風俗の場合、一般的な会社組織の外側で働くケースもあるため、本人が将来設計をしなければ、それを代わりにやってくれる仕組みが弱くなりやすいことだ。
観測結果――問題は「風俗をしていたこと」ではなかった
20歳から風俗一本だった女性が65歳になったとしても、全員が困窮するわけではない。
若い頃から所得を管理し、年金を納め、数千万円の金融資産を作った人なら、むしろ安定した老後になる可能性もある。反対に、高収入だった時代の生活水準を下げられず、貯蓄も社会保障への備えもないまま年齢を重ねれば、厳しい状況になり得る。
つまり観測して見えてくるのは、「風俗嬢の老後」という特殊な問題より、「若いうちの高収入を将来へ移せるか」という普遍的な問題である。
20代で月100万円稼いだことより、60歳の時点で何を持っているか。
結局、老後になって効いてくるのは、若い頃の最高月収ではなく、その金と時間を何に変えてきたかなのだ。

最後にひとつ
若い時から老後を本気で考える人なんて、そう多くない。まして稼げている風俗嬢なら、なおさらだろう。ただ、人は年を取るだけじゃなく、失敗したり痛い目を見たりして考え方も変わる。途中で気づいて軌道修正できる人もいる。まあ、いい歳になった今でも迷走している俺には、あまり偉そうなことは言えない。